聯想の飛躍を知らざる者に死あれ

「桑木博士の哲学概論ほか三四はまだ買えませんので、神田の古本の予算を立てています。哲学は思ったより愛嬌のある横顔をしています。塩と砂糖でかくし化粧をしています。正面の胡椒粉はこな白粉にすぎません。煉瓦塀で眼鏡をこわした詩人は、こんどは新調の鼻眼鏡の中ですこし眼を細めました。今夜の眼鏡の前にある横顔がかくした化粧のためとはいえ案外美人だったからでしょう。・・・」



尾崎翠 「アップルパイの午後」

濃いお茶とアップルパイの味。

友達  (性急に)そのまま。何て惜しいことをするんです。甘いほど好いんだ。

ええわあ。「甘いほど好いんだ。」・・・この乙女男子*1!!
1929年にこんなもの書いてる人もいるのだ。乙女の魂*2は永遠。
この「好い」って書き方が私の頭の辞書にはなかったのだ! なんてこと!
永井均も「善い」ではなくて「好い」を使って書いてるところがあったので、それで発見。
あたしが「よい」と言うときのよいはたいてい「好い」だったなあ。

*1:友達

*2:魂は個別的なものじゃない気がしてきた