人生の中で初めてかもしれない、雨を受け入れることができた。ぬれるのは不快だし靴の先がぬれるのはやっぱり嫌だけど、あたたかい雨は良い。匂いがいとしかった。うちに帰りたくなくなった。うちに帰るために傘を買うのが嫌だった。代わりに食玩を二つも買ってしまった。雷が鳴って土砂降りを眺めて、今川焼きやさんが商売の心配をしているのを眺めて、それから本屋で立ち読みしてたら雨は止んでしまったけれど、水たまりがキラキラで美しかったので走って帰った。